松江かわら版 No8


松江の未来像?・・産業、文化、福祉、・・つまり政策!




 松江市の観光の中心、松江城からたった8、5kmのところに、この街を廃墟に化すかもしれない、また発電源の中で最も高価な電気を作る島根原発があっても、とりあえずなんとか気を取りなおし、松江の今後を考えてみたいと思う。

―産業―

農畜産業

 地形や交通を考えると、大規模な工場誘致は無理。そこで、原発事故からの放射能汚染が比較的小さい島根県として、ブランド化されたオーガニック農畜産業に将来性を感じる。実際、今は奥出雲の木次牛乳や鳥取県の白ばら牛乳の販売が伸びつつある。また、それらを原料とした食材の生産工場もいけるはず。実際私も今は、醤油や味噌だけでなく、ケチャップやマヨネーズも奥出雲産のものを愛用している。無添加で、原材料も産地が安心、そして味も素晴らしい。今はネット販売も盛んなので、関東辺りからでも需要は十分に見込める。

企業誘致

 次に、政府は決して言わないが、東北から関東までの放射線量は健康に暮らせるレベルをはるかに超えている。また関東地方は直下型の地震がいつきてもおかしくない。そこで外資系をはじめ、かなりの会社がリスクの低いより安全な場所へと移転を始めている。リスク・・自然災害がほとんどない松江市に存在する唯一のリスクとは・・島根原発!原発事故で逃げて、そこにまた同じリスクがあれば、当然、候補地にはならない。そこで、この唯一のリスクを取り除く。すると、安全な場所を求めて移転してくる企業には打ってつけの場所である。交通の便は今のところ悪いが、企業が集中するにつれ交通網も改善されるはず。現在、ソフトビジネスパークはまだガラガラ空き状態。一石二鳥ではないか。

観光産業

 これもまた原発事故以来、国内旅行者も外国旅行者も、東より西に向けて旅をする傾向にある。最近は関東、東北、北海道からも旅行者がいらっしゃる。また韓国からは境港に旅客船が、米子空港には直行便が着き、韓国から松江に観光に来る方も増えている。それに続き、台湾や中国など近隣アジア、またはアメリカ、フランスなど欧米の旅行者数も少しずつ伸びてきている。伸びてきている・・という事は、ここに松江の将来のチャンスがある。

松江の魅力

 観光バスで来て松江城へ。写真を撮り、小一時間ほどの自由行動で武家屋敷などを見、お土産買うと次の目的地へと向かう旅行者にとって、松江は極めてインパクトの薄い地味な観光地かもしれない。

 しかし、少人数のグループか一人で松江を訪れ、お城や塩見縄手周辺をゆっくり歩くうち、妙に松江に心魅かれリピーターになってしまう方々もいらっしゃる。それは何か。かわら版3号でも書いたが、なにか心にしみる懐かしさ。日本人の心の奥底にある郷愁のようなもの。都会の雑踏から離れ、ゆっくり流れる時間の中で、ふと自分を取り戻す。語りつくせないなにかが、ここ、松江にはある。

 そんな松江を愛する人たちが口をそろえて言う事は、Dont touch it ! (余計なことはしないで!)つまり、今あるものを壊したり余計なものを作ったりなどせず、そのまま大切に保存し、いつまでも愛し続けることのできる松江でいてほしい。・・でも現実は、天守閣から望む松江の街は、無計画に建てられた高層建築が視界を遮り、乱雑な街並みが山並みや宍道湖にまで迫る。

 極めつけは、鉤型路に作られた松江城から田町に至る主要道路を、島根物産館館前から「城山北公園線」と称する直線4車線道路にする工事。松江市は、土木工事に仕事を回すため、通行量も激減している道路を建設することで松江市民の大切な宝を破壊しつつある。この道路はもとは松江市道だが、県の事業とするため県道に。出雲市出身の作家、松本侑子さんもこの話をした時、鉤型路の喪失には絶句。本当の宝を知らぬ愚か者の行政というしかない。

 ただ幸い松江には、今手を打てばなんとか保存できる、あるいは元に戻せるものがたくさんある。今こそ松江の未来をかけ、本腰で保存に走らなくては。まだ間に合ううちに。

世界の人をお迎えする松江に

 面白い記事を見つけた。西洋人旅行者が今一番熱い眼差しを向けているのは、なんと広島。京都も相変わらずの人気だが、広島にはそれとは違う魅力があり、2度、3度と訪れてしまうそう。バスからの眺めに「海のかなたから少しずつ宮島が姿を現す」。それがとても神秘的なのだそう。日本人は宮島を見て感動するが、外国人はそのプロセスに感動するようだ。

また、広島は街歩きをするのがとても楽しいそう。人口110万以上の大都市でありながら、すべてがコンパクトにまとまっている。路面電車の規模は日本一で、市内均一150円で、足として手軽に利用できる。市内には6本の河川が流れ、川の雁木(がんぎ・川へ降りる階段)を乗船場にする水上タクシーは風情があり、水辺にはこじゃれたカフェがあったり、牡蠣を食べさせる店があったりする。そしてオシャレな人が多いことにも気づくそう。

ふむふむ、別に真似をする必要はないが、松江も独特の風情とこじゃれた雰囲気の漂う街にできる。広島が原爆以降に再復興したのと違い、松江は江戸、明治、大正、昭和と幾層もの時代が調和して共存している。それをうまく生かし、活用していく。最近は松江を訪れるフランス人観光客なども増えつつある。深く豊かな大人の文化を楽しめる街にしていけば、松江も真の国際観光都市になれる。今のような子供だましの文化では先がない。なにしろ大人の方がずっとお金を落としていってくれる。また街を歩くのは点と点ではない。それぞれに向かう道も楽しめなければ滞在型、リゾート形の観光地にはならない。松江はここが弱い。風情を残し、けばくて醜悪なビルや大型店舗の美化に補助金を出す。地域の自主性など待っても無理。積極的な街の景観化と利便性の働きかけを、行政側が進めていかなくては。利権政治は無しに!

<金遣いの荒い松江市> 色々あるが、例えば「夏踊り」。去年の予算は2480万円、今年は1840万円。財政縮小・・と思うが、お金の内訳を見れば一言「ぼったくりバー」。踊りの好きな市民が心から踊りを楽しむことは素晴らしい。だが、50団体が踊りに参加で一団体につき37万円の支出。内訳をみると、例えば誘導員。70名配置に270万円。日当一人8千円弱で2割支出。残りは派遣の会社に。節税希望。

<松江市教育委員会・はだしのゲン閉架問題経過> ここ2、3年、松江市教育委員会に該当本を学校図書から追放するよう嫌がらせをしていた在特会の一人が、住所を松江に移し市議会に陳情書を。9月に継続審議となる。それから12月まで、1名陳情意見賛成の議員の属す教育民生委員と教育委員会トップとが内輪の話し合い。12月に教育委員会の裁量と不採択になった途端、教育委員会から「閉架」の命令が校長会に。


2013年10月5日刊
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